エマのシュートタッチの早さは自分以上のものがあった。
ディフェンスではパスを渡させまいとぴったりと体をくっつけ、両手をあげて守る。

「…」
ボールを運ぶエリーが、エマを選択せずに中の水越を選択するも、高いジャンプで佐々木がパスカットをし
「おりゃあ!!」
静香がボールを受けとる。
「行くで!!この一本決めたるで!!」
「おしっ!!行け静香!!」
エマは走り出す未茉にぴったりとくっつく。
田島がエリーを振り切り、パスを受けとるとシュートを冷静に決めてきた。

「よし!!」

だが、3Q終了するも一進一退の攻防が続いてしまい点差は縮まらない。

「18点差…」

得点板の数字が東京女子に重くのし掛かる。
ペースを持ってかれないが、持っていける程でもない。


「静香が凄くいいところで仕事してくれてる。しかも石井さん不在で。」
早乙女は、よくやってると誉めるが、あと一歩勝つ材料が足りないともどかしい気持ちになる。

「白石…。田島と白石が試合を決めるしかない。」
(辛い時にチームを救うのがエースの仕事だ。
あの二人がどこまでエマに立ち向かえるかだ。)

「「東京ぉぉー!!頑張れぇー!!!」」
男子が一斉にみんなで大声を振り絞り、ベンチに声を出すと、
「おおー!!」
と未茉は手を振ろうとすると、ドンッ!と静香に押され、ベンチのメガホンを取り、
「匠さぁぁぁあーーん!!!うち愛の力で絶対頑張るから、うちだけを見とってやあぁぁ!!!」

「!!」
会場中に響き渡った静香の声に匠は真っ赤になり、ずっこける・・・・。

「「ヒュー♪ヒュー♪」」
どっからともなく聞こえてくる冷やかしに「やっやめ・・・」うろたえる。

「うちはなー、映画館か水族館か遊園地か行きたいとこいっぱいで迷っ…」
言いかけてるとこでバシンッ!!と神崎に叩かれる。
「この東京の恥め!!」
「お前は一人で病院行け!!」