「いってぇ!!急に何すんだよ!!」
ーーばっしぃぃいーん!!!
と、その何倍もの強さの未茉の平手打ちによって嵐には返ってきた。
「ちょっ・・やめて。二人とも何してるの!?」
大喧嘩になりそうな予感がした莉穂は立ち上がり、二人を制止する。
「はっはぁーーん。桐生それは見苦しいで。ただの焼きもちやん!健さんに嫉妬してるだけやないか。」
やれやれと呆れたように静香は言うと、嵐はさらにカッとなり、
「あぁ?!言っとくけどな、匠兄がお前みたいな図々しい女なんか相手にするわけねぇんだよ!!」
「なんやてぇ!!?誰が図々しい女やて?!!キングやなんや知らんけど、未茉に全く相手にされてへんくせに!!お気の毒様やな!!」
「うっせぇ!!!」
ばんっ!!とテーブルを叩いて嵐は怒ったまま店を出ていく。
「静香まで…なんてこというの…もう。」
二次、三次被害がでることに頭を抱えるも、はっと我に返る莉穂は、
「未茉、追いかけて。」
「はぁ?やだよ!!なんで急に叩かれなきゃいけねぇのか分からねぇーし!しかもなんであんな怒って…」
「未茉のこと好きだから!!」
珍しく莉穂の強い口調に驚き、言いかけていた口を閉じた。
「未茉のことが好きだから、他の男と何かがあったなんて話を聞きたくないの。分かってあげて。」
「…」
「いくら未茉が自分は兄妹のように思って振る舞ってても、相手は好意があるの。なんとも思ってなくても、そこを気遣ってあげないと。答えられないのなら尚更、大事なことじゃない。」
“生まれた時からずっと好きだった”
“お前が思うよりもずっと好きだよ”
「最近未茉も恋に目覚めたから、相手を思う気遣いとか難しいかもしれないけど…素直のままでいたら相手を傷つけることだってあるの。桐生君にもそうだけど湊君にも、健さんにもそうだよ?」
そんな大事なことを指摘してくれる友達に、未茉は感謝と共に改めて気づかされると、
「ちょっと謝ってくる…!!」
席を立ち、走って店を出ていった。



