「あっ!未茉…と、あれ桐生君?」

九時に駅前のショッピングモール前に集合と莉穂にも連絡がいったようで、そこに来た嵐に莉穂は驚いていた。

「どうも。久しぶり。」
「こんにちは。びっくり…!こんな有名人が東京の街中を歩いて平気なの?」
驚きながら駅前のビジョンのスポーツ飲料のポスターの嵐と見比べてしまう。

(この子は昔からいい人だよな。)とようやく未茉の周りでまともな人間を見る嵐。


「なんだ。莉穂も誘ってんなら莉穂に見立てて貰えばいいじゃねーか。」
「未茉は匠さんの幼なじみやないか?!好みっつーのが分かるやろ?桐生も!」
ウシッシッと静香がにやけだす。

(俺はお前のふんどしなんかどうでもいいんだよ・・。ただ…
“女としての未茉を全然分かってねーよ”
…あの健の言葉が気になった。
バスケットボールを持ってない未茉を、俺は離れてから言われてみたら知らない…)

そんな思いを馳せた彼女の横顔を見つめる嵐の気持ちにはまるで気づかない未茉は、

「ショッピングモール10時からだし、腹減ったからなんか食わねー?」
ママは相変わらずストライキ中で朝から何も食べてないため腹ペコだった。

「目の前にスタバあんじゃん。座ってろよ。なに食う?買ってきてやる。」
「やったぁぁあ!!期間限定のさつまいもフラペチーノにワッフル3枚にシナモンロール3個!!」
「はいよ・・。」

「桐生、うちも全く同じのを頼むで!!」
「・・・。」
「桐生君・・、私はホットで。後で払います。」
気の毒になった莉穂はそう声をかけて手伝いに立ち上がる。
「大丈夫。」

「なんや、未茉。桐生はメッシーか。確かに稼いどるもんな!」
「メッシー??」
(聞こえてんだよ・・・遠慮しろよなあのブタ・・丸焼きにするぞ。)
ひっそり言ったつもりでも、丸聞こえでピクピクする嵐であった・・・。