「男子はいいよなぁ~あたしも料理じゃなくてラグビーやりたい!!!」

家庭科室の窓から楽しそうにラグビーをしている男子達を眺めながら未茉は生クリームを泡立ててる。
「ちょっ…!!白石さん生クリーム飛び散ってるから!!!」

その生クリームは床や作業台の上に見事に飛び散り、同じ家庭科の班の椎名に睨まれる。
「あ、わりぃわりぃ・・・。」
ぺろっと泡立て器についた生クリームを舐めると、
「ちょっと!!舐めないでよ!!」
「だってうまいんだもん!」

「・・・白石さん、いい加減に粉とか砂糖とか測ってると失敗するからね!!」
「こんなの適当でも材料さえあってれば。」

どっかぁぁーんっ!!!

「え・・・・。」


「げほっげほっ!!なにこれ煙っ!!」

オーブンからはモクモクと黒く焦げ臭い煙が広がり、10個焼いたカップケーキは全て炭となり、ぺったんこだった・・。
「あれ・・・・」
「ほら、だから言ったじゃない。」
椎名に冷たい視線を送られ、
「もぉー!!白石さんってばぁ!湊君にあげるんじゃないのぉ?これ丸焦げで食べれないわよ!これじゃ…」

同じ班のみんなのカップケーキはチョコチップや生クリームなどで可愛くアレンジされていて、
「インスタ映えするかもー」
「ね、可愛い!男子喜んでくれるかなー?」
キャッキャッとはしゃぎながら写メを撮り始めてるのを見て、未茉は泣きの一回を申し出る。

「椎名さぁぁん!!お願い!!一緒に作り直すの手伝ってぇ!!」
「えっ!?嫌だよ面倒くさい!!」
「お願い!!キタローと翔真には絶対あげないと!」
「…キタローに?」
「うん!!」