ピーー!
そして流れは一気に愛知へ、エマからのファウルを誘われ、石井は4つ目のファウルを取られてしまう。
「うわぁぁ…石井4つ目…」
痛すぎる4つ目のファウルに東京ベンチも項垂れる。
「あーっもう!!!」
ベンチに戻った石井も思うようにプレーをさせてもらえない苛立ちにタオルをグッと握りしめながら座る。
「インターハイで大成で当たった時とはまるで別人のチームだよ…!!」
あの日も散々な目にあったが、こんなにパワー温存されて戦われてたと思うと、苛立ちと自分の能力への失望感しかなかった。
「石井…」
東京ナンバーワンセンターと呼ばれ、関東でも石井の右に出るものなどそういないであろう彼女をここまでどん底へと落とす、エマの本気はひとたまりもなかった。
神崎でさえ、エマの実力を見くびっていた。
(石井がベンチにこれで静香の負担が益々増える…)
ゴクっと息を飲む田島は、静香の方を見た。
自分の息がここまで荒く、足がこんな3Qくらいで重くなったのは生まれて初めてかもしれない。
得点差のせいだけじゃない。
今の私達では愛知には歯が立たない。
「…ダメか」
まだタイムアウトは取りたくなかったが田島の表情を見た神崎は、タイムアウトを申し出ようとした時、
バッシーンッ!!!
「!!?」
エマのシュートを思いっきり静香がブロックし、ラインから出した。
「おっしゃぁ!!」
ガッツポーズをして、大声をあげた。
「静香…!!」
この悪い流れを立ちきるような、まさかのブロックだった。



