「東京の6番の白石って…あの元NBAの白石清二の娘だったの!?むちゃくちゃサラブレッドじゃん!!」
「通りであのプレー…納得」
「もしかしたらこの試合ワンチャンあるんじゃん!?」
「すげーサラブレッドカップルかよ!最強!エマを負かしてMVPカップルでとってほしーな!」

嵐とのインタビューが話題になり、あの子は誰だ?!と観客達はネットで色々調べて未茉の話題で持ちきりの中、一際好奇の視線を浴びてコートに戻ってきた。


「よし。行こう!!」 

第3Q開始30秒前のブザーが鳴り、田島を筆頭に気合いを入れて力強くコートに足を踏み入れてく。
東京もファウル3つの石井を戻し、最強布陣で挑む。
一方、原監督率いる愛知はスタメンの主力組に戻し、一気に畳み掛けるようだ。



「前に言ったこと覚えてる?」

唐突にエマがコートにいた未茉の元へやってきてそう尋ねてくる。
普段部員同士でも喋ることもめったにないエマが相手選手に話しかける光景など見たことなく、愛知の女子達は皆驚いていた。

「わりぃ。前って?」
「軽井沢で」

ピーー!!
試合開始のブザーが鳴ったが、エマは動きもせず未茉の方を見ている。
そんな彼女のただならぬ気迫にその場から動けずにいた。

選手達は走り出すが、未茉とエマは止まったままで、
「なんだ…」
「どうしたんだ!?」
ベンチも観客も動かない二人にざわめく。