突然黒電話から奥へと向かう道が開けたことに唖然としてしまう。


「これってもしかして、美久が犠牲になったからか……?」


俺は小さな声で呟いた。


雄大の時もそうだった。


雄大が犠牲になってくれたからB組には明かりがついたのだ。


「マリ、立てるか?」


とにかく、前に進むしかない。


次への道は開かれたのだ。


未だにロッカーからは響の悲鳴が聞こえてきている。


あの中にきっと響がいるはずだった。


「うぅぅ……」


マリはうめき声を上げながらも、どうにか両足で立ちあがった。


そしてロッカーへ視線を向ける。


「美久……美久……」


ブツブツと口の中で呟きながら、マリはロッカーへ向かって歩き出す。


その歩調はゆっくりだったけれど、徐々に早くなっていく。


「マリ?」


声をかけても返事はなかった。