「落ちつけよマリ」


俺はその場に崩れ落ちてしまったマリの肩を抱いて言う。


しかし、マリには俺の声が届かない。


確か、マリと美久はずっと仲が良かったんだっけ……。


そんな相手が目の前で串刺しになって死んだのだ。


平常心でいられなくなるのはわかる。


だけど、ここまで来てもまだ教室のドアは開かないのだ。


パニックを起こしている場合ではない。


「大丈夫だから。とにかくここから出ないといけないんだから!」


「あああああ! 美久が! 美久が!」


ボロボロと涙を流して叫び続けるマリ。


奇麗な顔を台無しにして泣き続ける。


くそ。


どうしたらいい……?


泣き続けるマリを前に途方に暮れそうになった時、突然天井かフィルムが落下した。


バサッと音を立てて床に落ちてきたフィルムに「うわっ!」と、声を上げてしまった。