まるっこいフォルムに、指を入れて回す形の回転ダイヤル。


3人で恐る恐る近づいてみると、黒電話を境にして天井から床にかけて透明フィルムが貼られていることがわかった。


黒電話がこちら側で、ロッカーは向こう側と言った感じだ。


フィルムは天井と床に食い込むように設置されているようで、どこからかめくり上げて移動するようなこともできなくなっている。


「これ、どうすればいいの?」


黒電話の前で立ち止まり、美久が途方に暮れた声を出す。


俺も同じ気分だった。


この空間から早く抜け出したいのに、なにをどうするべきかわからない。


ロッカーに近づくこともできないから、響を助けることもできない状態だ。


「ハサミがあれば、このフィルムを切れるかもしれないけれど」


そう言ったのはマリだった。


さっきよりもずいぶんとしっかりした声になっている。


この状況に馴れるというものおかしな話だけれど、そうことなんだろう。