袋の中にいるのはきっと響ではない。


そう気がついても意味はないのだ。


ちゃんと与えられた試練を達成しないと、ここからは出られない。


あたしはゆっくりとロッカーへと近づいて行く。


もう、この教室で生き残っているのはあたし1人しかいないのだ。


勇気を出して、自分が前に進んでいくしかない。


光平の死体に近づけば近づくほど、体が震えた。


見たくないのに、光平の見開かれた双眸を見てしまう。


あたしは何度も深呼吸をして自分を落ち着かせることが必要だった。


しかし、入ってくる空気は生ぬるく、血の香りが混ざったものでしかなかった。


自分の体を支えるようにして歩き、どうにかロッカーの前まで到着した。


中を確認してみると、ボウガンがつり下がっていて、ドアを開けた瞬間発砲するように仕掛けられているのがわかった。


こみ上げてくる吐き気を押し込めて、ロッカーの中をザッと見回す。


その時だった。


ロッカーの下に銀色の鍵があったのだ。