ようやく教室の後方まで到着することができた。


あたしと光平は灰色の布の前に立っていた。


「鍵だ! まずは鍵を開けてくれ!」


袋の中から響が言う。


「鍵?」


見てみると、袋の口のところから太いチェーンが伸びていて、それは壁に埋め込まれている。


きっと袋の中の響は鎖で拘束されているのだろう。


だから自力で出てくることはできなかったのだと、納得した。


「とにかく、袋を開けるから」


このままでは響も呼吸が苦しいはずだ。


そう思って手を伸ばした時、光平に止められていた。


太くてガッチリとした手が、あたしの手首を掴んでいる。


「どうしたの光平?」


首をかしげて尋ねる。


「響は鍵が先だって言っただろ。順番を間違えるとまたなにかあるかもしれねぇ」


そう言われてあたしはすぐに手を引っ込めた。