「くそっくそっ!」


光平は壁に自分の額をぶつけて苦痛に呻いている。


「光平、なにしてるの!?」


「うるせぇ!!」


あたしの言葉に光平は怒号で返す。


光平も限界なのだ。


この状況で精神が崩壊しかけている。


自分で自分を傷めつけることで、どうにか自分を見失わずに済んでいるのだ。


あたしは教室の後方へと視線を戻した。


凌が犠牲になったからか、ピアノ線が落下している。


あたしはどうにか自分の気力を奮い立たせて、立ちあがった。


ヨロヨロと灰色の袋へ近づいて行く。


「おい、気を付けろよ!」


光平に言われて頷いた。


幸いにも、もうピアノ線は張られていない。


これで響に近づくことができるのだ。


こんな場所早く脱出してやる……!