パサリと布が落下するような音がして、ピアノ線が床に落ちるのを見た。


あたしは呆然と立ち尽くして早紀の死体を見つめる。


凌が死体にかけより声をかけているが、早紀は返事をしない。


それところか、口があった場所はドロドロに溶けて原型をとどめなくなっているのだ。


息があったとしても、返事はできなかったと思う。


「なんでこんな……どうして……」


凌はブツブツと呟き、その頬にいくつもの涙が流れおちていく。


凌が早紀のことを好きなのはE組では周知の事実だった。


そこそこカッコよくて女子からの人気も高い凌が、どうして早紀を?


その妬みから早紀のことをイジメるようになった子も多くいた。


「次に行くぞ」


光平が落ちたピアノ線を踏みつけて奥へと進む。


教室後方からはまだ響の声が聞こえてきている。


「おい響、大丈夫かよ!?」


光平が声をかけると、「ここにいる!」と、返事が来る。