「どうでもいいよ。もう出ようよ」


梓が大袈裟に息を吐き出し、そして大股に歩きだした。


どうやら昇降口へ向かうらしい。


ここにいてもやることはないし、外はもう真っ暗なようだし、確かに帰るしかない。


納得して歩き出す。


一歩歩くたびに体のどこかに痛みが走った。


他の子たちも梓に続いて歩き出す。


でも……と、胸に違和感が湧きあがってくる。


あたしはいつも通り授業を終えた後、ちゃんと家に帰ったんじゃなかったっけ?


ご飯を食べてお風呂に入って、自分の部屋に戻った記憶がある。


それなのに、どうしてこんなところで目覚めたんだろう?


疑問を感じて首をかしげる。


もう1度周囲を確認してみるけれど、やっぱりここは見なれた学校で間違いないみたいだし……。


「ねぇ夏海」


声をかけられて振りむくと優香があたしの腕を掴んできた。