彼らもまた、瞬きをしてあたしを見ている。


口々に「どうなってんだよ」とか「なんで学校?」と呟くのが聞こえてくる。


徐々に頭痛が治まってきたあたしは、壁に手をついてどうにか立ち上がった。


廊下に寝ていたため、こんなにも体が痛むようだ。


「なんでE組の生徒だけここにいるの?」


そう言って首をかしげたのは大西優香(オオニシ ユウカ)だ。


小柄でかわいらしく、ふんわりとした雰囲気の優香だけれど、今は不安そうに眉を下げて自分の体を両手で抱きしめている。


「響だけいない」


あたしは短く返事をした。


ここにいるのは13人。


E組の生徒は河野響(コウノ ヒビキ)を入れて14人だ。


その響の姿はどこにもなかった。