佐竹の体はバランスを崩し、あっけなく用水路へと吸い込まれていく。


濁流にもまれて、頭も足も、なにもかもが見えなくなる。


「行くぞ!!」


光平の言葉を合図にあたしたちはその場から逃げ出した。


あたしたちがそこにいたという証拠は強い嵐が簡単に洗い去っていったのだった……。


「○○県、○○市で数日前から行方不明になっている佐竹明伸さんについて最新の情報です……」


ニュースキャスターがそう伝えたのは、嵐が治まった3日後のことだった。