それから……。


あたしたちは早紀がちゃんと役目を果たすかどうか見届けた後、自転車で用水路へ向かい、佐竹を待った。


佐竹は傘もささずに用水路へ走ってくる。


「どこだ!?」


近くにいても大声を出さないと聞こえないほどの大雨だ。


佐竹は早紀にが指さす方へ向かう。


用水路は濁流になっていて、水は茶色く濁っていて中の様子は確認できない。


佐竹は用水路の横にしゃがみ込み、どうにか小学生の姿を確認しようとしている。


その姿を見て、あたしは間違っていると感じた。


やっぱり佐竹は先生なのだ。


イジメられた過去があるせいでちょっと暗いかもしれない。


ノリが悪いかもしれない。


だけど、先生なのだ。


イジメられている早紀を見て無視しているんじゃない。


自分が過去に経験したことだから、慎重になっていただけだ。


そうわかっても、もう、遅かった。


隠れていたクラスメート数人が佐竹の真後ろまで迫っていた。


「ダメ!」


叫ぶ声が雨と風にかき消される。


クラスメートが両手を伸ばし、佐竹の背中を思いっきり押した。