でも、早紀ならまだチャンスが残っている。


「あの、小学生って、本当のこと?」


恐る恐ると言った様子で早紀が聞く。


すると光平は立てに首を振った。


「あぁ。すぐに助けに行かないと、大変なことになる」


光平の言葉にクラスメートたちの顔が奇妙にゆがんだ。


笑っている。


みんな、ニヤニヤとイヤラシイ笑みを浮かべている。


自分の頬に手を当ててみると、自分も同じ顔をして笑っているのがわかった。


ニヤニヤ、ニヤニヤ。


「で、でも、あたしも自分で確認してきていいかな? もしかしたら、もう助かってるかもしれないし」


早紀は嫌な予感を察知して早口に言う。


しかし、早紀は囲まれていてこの教室から出ることもできない。


「俺の言うことを信用できないのか?」


光平がグッと早紀に顔を近づける。


早紀は数歩後ずさりをして、ブンブンと左右に首を振った。


「信用できるけど……」


「じゃあ決まりだな」


光平がスッと身を引くと、早紀はホッと安堵のため息を吐きだした。