口には出さなくても、佐竹先生の顔はそう物語っていた。


そんな佐竹先生が担任を持つのはこれが初めてのことだった。


「佐竹先生、質問タイムはないんですかぁ?」


クラスや担任が変わったとき、必ずと言っていいほどこういう時間が設けられる。


調子のいい生徒が提案する時もあれば、先生からノリノリで質問を受け付ける場合もある。


どっちにしても、生徒と先生の距離を詰めるためには必要な時間だった。


だが……。


「そんなことをして何になりますか?」


佐竹先生は生気のない顔でそう言ったのだ。


質問をした生徒は驚いたように硬直してしまっている。


「せ、先生はこの学校に来て日が浅いから、色々知りたいんです」


あたしは右手を上げてそう発言をした。


最初に発言した生徒が少し安堵したように笑みをこぼす。


「だから、先生のことを知ってどうするんですか?」


それでも佐竹先生は無表情でそんなことを言う。