3年E組に上がると、途端にクラスの雰囲気が違うなぁという気分になった。


なんとなくみんな斜に構えているというか、なににも本気になっていないような空気が全体的に広がっているのだ。


もちろん、そんな中でも夢に向かって頑張っている子は沢山いた。


美容師を目指したり、人助けをしたり、小説かを夢見たり。


でも、なにかが違うのだ。


輝く目の中に、それぞれ少し違う色が混ざっているような、違和感。


その違和感の正体はすぐにわかった。


「3年E組の担任になる佐竹です」


小さくお辞儀をしたその人は、1年前絵からこの学校で働いているまだ若い教員だった。


大学を出てまだ2年ほどとフレッシュなはずだが、その見た目はくたびれた中年男性となにも変わりなかった。


20代前半のはずの頭には白髪が混ざっていて、肌にも張りがない。


なにより目の輝きがなかったのだ。


佐竹先生は未来を悲観しきった男のそれと同じであった。


自分の将来に希望なんてない。


たかが知れている。


同じ毎日を無意味に過ごすだけ。