「この空間はアイツが作った」


響の言葉にあたしはイヤイヤするように左右に首を振った。


嫌だ。


それ以上の言葉は聞きたくない。


「そんなこと、アイツにできるわけない!」


あたしは両手で頭を抱えて必死に考えを否定する。


それはまるで、ほしいおもちゃを買ってもらえなかった子供のように。


「できるかもしれない。俺たちはあいつの人脈を知らないんだから」


響の言葉に、あたしはまた左右に首をふる。


「さっき、人間のできることじゃないって言ったじゃない!」


「そうだとしても、辻褄は合うんだ」


あたしはそっと顔を上げて響を見つめる。


「どういうこと……?」


「アイツはもう……この世にはいないってことだ」