バンッ!


大きな音がして、白い煙が見えた。


痛みはない。


ただ、額に何かがぶつかってきて、やけに熱いなと感じたくらいだった。


自分になにが起こったのか理解できていなかった。


みんなを助けることができたと思って、笑顔で、それで……。


「え、なんで?」


それが自分の声だと気がついた次の瞬間、足元から崩れ落ちていた。


立っていられない。


頭まで水に浸かり、苦しいはずなのになぜか心地よかった。


それはまるで、胎児に戻ったかのような安心感だった。


冷たくない。


苦しくない。


大丈夫。


俺はまだ生きて……。


俺の思考があったのは、そこまでだった。