「なにそれ、ミチルに失礼でしょ」


「うん……だね」


だけどそう感じたのだから仕方がない。


「老人か子供か。その二択って言うのは優香らしいね」


「そうかな?」


「そうだよ。優香ならきっと、どっちでもなれる。年寄りや子供を見て笑顔になれるなら、絶対に大丈夫だよ」


梓はそんなことをスラッと言ってのけて、また鏡に向かった。


そっか。


あたしならどっちも大丈夫か。


梓の言葉を胸の中で反復させる。


夢か憧れか、まだわからない。


だけどなにかがあたしの中で芽を出した瞬間だった。


3年生に上がるころにはきっと何かが決まっている。


そう思っていたけれど……。