「もしかして優香、将来は老人ホームとかで働くの?」


聞かれてあたしは首をかしげた。


正直、それもいいなと思っている。


お年寄りのことは大好きだし、お手伝いしたいと思っている。


それに、今の時代求人で多いのはやっぱり介護職だった。


職につくために介護の資格を取っている子も沢山いる。


「まだわからないけど、もしかしたらね?」


「あたしは絶対に美容師になるんだ」


目を輝かせて言う梓にあたしは一瞬視線を反らせてしまった。


梓が美容師を目指していることは、きっとみんな知っている。


これから通う専門学校も、もう決めているらしい。


「みんな夢があっていいなぁ」


あたしは小さな声で呟いて、教室内に視線を向けた。


ミチルがちょこまかと動き回って響のことを探している。


それを見てクスッと笑った。


「あ、あたし、子供も好きかも知れない」


「は? 急にどうしたの?」


「なんか、ミチルを見てたらそう思った」


あたしの言葉に梓はブハッと吹きだして笑った。