A組の教室内は思っていた通り真っ暗だった。


月明かりが入ってこないのは、窓に暗幕が垂れ下っているからだとわかった。


光平が壁に手を伸ばして電気を付ける。


一瞬眩しさに目がくらんだ。


頭痛が蘇ってきて顔をしかめる。


しかし、それもすぐに過ぎ去って行った。


「なんだこれ……」


光平の声にしっかりと教室内を確認してみると、そこは異質な空間としか言いようがなかった。


普段、みんなが授業を聞いているのと同じはずなのに、雰囲気が重たく、呼吸をすることも苦しいくらいなのだ。


どうしてそんな雰囲気になっているのか、視界の端に写り込んだものを見てあたしは理解した。


そこには灰色の袋が転がっているのだ。


人ひとり入れるくらい大きな袋で、中でなにかが蠢いているのがわかった。


「なに……あれ……」


自分の声が情けないくらいに震えている。


袋は時々大きくゆがみ、中にあるものの形状を浮きだたせる。


それは人の両足だったり、頭部のような形状に見えた。