死んでしまうかと思った。


早紀や凌や光平が死んでいくのを見て、次は自分の番なのではないかと思った。


でも、外へ出られたんだ……。


ガラッと教室のドアを開けて廊下へと転がり出た瞬間、新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。


A組の教室内は血だらけで、呼吸もままならなかったのだ。


あたしはしばらくリノリウムの床に張り付くようにして深呼吸を繰り返した。


もう一歩も歩くことはできないと思えるほど、体が重たかった。


目を閉じると教室に張り巡らされていたピアノ線を思い出す。


あれに触れてしまうことで、早紀や凌は死んでいった。


光平だって、響を助けるためにロッカーを開けて死んでしまった。


でも、響はいなかったのだ。


灰色の袋の中身はモーターで動くマネキンだった。


あたしはグッと歯を食いしばった。


あたしたちは遊ばれている。


そんな気持ちが湧いてきて、悔しさがこみ上げてくる。


体に力を込めてどうにか起き上がり、B組とC組のプレートを見つめた。


他のみんなはどうなっただろう?


声が聞こえてこないけれど、無事なんだろうか。