そこから断続的に響の悲痛な声が聞こえてくるのだ。


「助けてくれ! 早く!」


あたしは愕然としてその場に膝をついてしまった。


全部、嘘だった?


ここに響がいると思ってみんな前進してきたのに、全部嘘……?


途端に体の力が抜け落ちていくのを感じた。


ダメだ。


座っていることもできない。


その場にペタンと、まるで小さな子供のように座りこんで、あたしはテープレコーダーへと手を伸ばした。


不愉快な音を乱暴に消すと、教室内には静寂が下りてきた。


あたしとミチルの呼吸音以外、なにも聞こえてこない。


「優香、どうしたの?」


ミチルの声がやけに苦しそうで、あたしは怠慢な動きで視線を向けた。


ミチルの額には大量の汗が浮かんできている。


顔色も、この教室へ入ってきたとき以上に青ざめている。