俺が小説家を目指した始めたのは小学校5年生のころだった。


その頃までは小説家になるだなんて、少しも考えていなかった。


でも、キッカケはとても些細なことだったんだ。


「これなに?」


それは天気の悪い日曜日の午後のこと。


外に遊びに出かけることができない俺はひとりで暇を持て余していた。


好きなゲームもマンガも、ひとりだとつまらない。


そんなときに見つけたのが母親が読んでいた推理小説だった。


「それは小説よ」


「げぇ、小説ぅ?」


俺はげぇと舌を出して言う。


小学校の図書室へ行けば沢山の小説が並んでいることは知っている。


だけど、文字ばかりの本に興味はなかった。


できればそこにイラストが書かれている方がいい。