そんな雨の日、彼女は家に訪れた。
いつもなら、インターフォンを押してくるはずなのに、僕のところに慌てて駆け寄った。
震えていた彼女の背中に触れ、優しくさすってやった。


「落ち着くまでこうしてていいよ。」

彼女は、大泣きをしだした。
いつもは大人びていた君が、子供っぽく大泣きをしたのを見て、俺は何故か安心してしまった。
だって、やっと君が僕に頼ってきたのだから…。

泣いた理由を後から聞くと、彼女の祖父が亡くなったとの事だった。
だが、祖父は家族とはあまり良い関係では無かったらしく、亡くなった後も、家族は直ぐには連絡をよこさず、葬式が終わった後に連絡をしたのだという。