「悪い、違うんだ。自分が父親になるんだと思うと、不思議な感覚というか、感動するというか……。すまない、あまりに嬉しくて言葉が見つからない」

「弦さん……」

 気を緩めたら泣いてしまいそうだ。

 泣き顔を未来に見られたくなくて、そっと彼女を抱き寄せた。

「それじゃさっきのは、つわりだったのか?」

「はい。少しは良くなったんですけど、まだちょっとしたことで気持ち悪くなっちゃって」

 たしかつわりだと、食欲もなくなるんだったよな?

「大丈夫か? ちゃんと食べられているのか? 少し痩せたんじゃないか?」

 身体を離してまじまじと未来を見ると、顔に著名に表れている。

「食欲がなくて……。でも食べられるものをしっかり食べているので大丈夫です」

 未来はそう言うが、心配でたまらない。妊娠すると女性の身体がどう変化するかわからないから余計に。

 明日にでも本屋で妊娠に関する本を買って勉強しよう。