パトリツィア・ホテル

「咲……」


使用人達に着せ替えられ終えた私を見た途端……新宮くんは切れ長の目を丸くした。


「めちゃくちゃ綺麗……」


それは幼い頃、ずっとなりたかったお姫様。

ピンクのドレスに宝石のついたティアラ、ダイヤのネックレス……。

新宮くんが驚くのも、無理はない。

鏡を見た私は、自分でも信じられないくらいに美しく……まるで夢でも見ているようだったのだ。

私の顔はどんどん熱くなった。


「恥ずかしい。まさか、私がこんな……」

「お姫様! 私に何なりとお申し付けくださいませ」

「もう……からかわないでよ」


恐らく真っ赤になっていた私は、悪戯っぽく笑う彼を睨んだ。

彼はそんな私の視線をさらりと躱し、少し右上を見て考えた。


「だけれども……こうなってくると、今度は俺のこの格好が釣り合わなくなってくるんだよな」

「えっ?」

「よし! 咲、ちょっと待ってて!」

「え、あ、ちょっと……」


彼は使用人達と共に男子用の更衣室に入って行った。


暫しの後……


「うそ……。カッコよすぎる……」


更衣室から出た彼を見た私の瞳には、ハートマークが浮かんでいたことだろう。

だって、白いタキシードを身に纏った彼は今まで見たどんな男性よりカッコよくて。

私なんかが気軽に話しかけるのも躊躇われる……それほどのオーラを纏っていたのだ。