愛恋のキス




「そんなのテストの順位が出た時、常に俺の下に藍原さんの名前があるんだから、気になって当然だろ?」


 常に俺の下……?

 いけない、いけない。仮にも彼はリーダー格の人間。ここで相手の機嫌を損ねれば、最悪の場合無視といういじめも発生する恐れだってある。

 我慢だと何度も自分に言い聞かせ、私も笑顔を浮かべてみせる。


「霧谷くんって毎回学年1位で本当にすごいね。私のことも認知してくれていたなんて嬉しいなぁ」


 後半は……というより、ほぼ全てのセリフが棒読みになってしまったけれど、笑顔を浮かべているためマシである。


「藍原さんは有名だからね、学年を超えて君の噂は広まっていると思うけど」


 霧谷が言いたいのはきっと、1年最後のテスト順位が貼り出された時のことだろう。

 何せ彼は私に向かって「また俺に敵わなかったんだな」と馬鹿にしてきたのだ。ふざけるなと返して何が悪い。


 それなのに私が嫉妬して霧谷を怒鳴りつけたというありもしない噂を流されてしまったのだ。

 さすがの私も嫉妬したからと言って、非のない相手に怒鳴るようなことはしないというのに。