愛恋のキス




「うう……」
「だから言っただろ?離れてろって」


 まさか霧谷に呆れられる日が来るとは思わなかった。

 そうしているうちに霧谷が玉ねぎを切り終わっていて、本当に手際が良いらしく、均等に切られていた。


「じゃあ、あとはお願いな」
「えっ……別にそのままで」

「肉はべたついて触るの嫌だろ?女子はそういうの気にするだろうから」


 すると霧谷がまた場所を移動しようとしてきたため、そのままでいいと答えたけれど、ここにきてまさかの女子扱い。

 さすがは女関係が悪いと噂の霧谷だ。レディファーストに弱い女子も多い気がする。だから霧谷派の人間もいるのかもしれない。


 けれど私は騙されない。いつもは見下すような発言ばかりしてくるのだ、急に女子扱いされたところで私には無意味である。