愛恋のキス




 そんな大きな反応をする必要もないだろうに、そのオーバーリアクションがわざとらしくてイライラする。


 霧谷を睨もうと思ったけれど、絶賛玉ねぎが原因で目から涙が溢れている最中のため、からかわれたくなかった私は黙って切る作業を続けようと思ったけれど、隣の男がうるさくそれを止めてきた。


「そんなボロボロ泣いて切ることもないだろ」
「……うるさい」

「ほら、俺がこっち切るから。まずは涙を拭こうな」


 霧谷は泣いている私の涙を拭い、私の立つ場所と自分の立つ場所を交換してきた。


「目を洗ってこなくて大丈夫か?」
「そこまで心配する必要は……」

「玉ねぎのにおいでも刺激されるだろうから、少し離れてような」


 さすがにここまで子供扱いされるのは好ましくない。心配してくれているのだろうけれど、子供扱いもどうかと思う。

 それでも場所を交換させられたため、大人しくお肉を切ろうと思ったけれど、やっぱり玉ねぎのにおいでも鼻が刺激されて涙が出そうになる。