何も言わずにお肉の入った袋を渡すと、霧谷はそれを受け取り切る準備を始める。
「怒ってる?」
「……うっとうしい」
「かなり怒ってんなぁ……でも藍原ちゃん、あのことに関しては怒ってなかったよな」
「あのこと?」
「バスの休憩中に俺が藍原ちゃんに……」
「……っ!?」
私が初めて過剰な反応を見せたからだろう、それ以上は何も言わずに意地悪な笑みを浮かべていた。
まるで弱みを握られたようで嫌な感じだ。幸い、沙良と堀田くんはお米を炊く準備をしていたため、この会話は誰にも聞かれていない。
「何が言いたいの」
「んー?男慣れしてない藍原ちゃんが可愛いなって。でも全然抵抗してなかったし、やっぱ興味あるんだな」
「一切興味なんてないから。特に霧谷なんて絶対に御免」
「そんなこと言わずにさ。俺は可愛い藍原ちゃんの反応が見れて嬉しか……って、藍原ちゃん!?」
「……なに」
ちょうど玉ねぎを切っている時だった。突然霧谷が大きめの声で私の名前を呼んだ。



