愛恋のキス




 今日はバス内で一生分、霧谷と話した気がしたというのに。


「藍原ちゃん、カレー作り頑張ろうな。そういな藍原ちゃんって料理はできるのか?」

「失礼ね、ある程度はできます!」
「へぇ、そうなんだ。意外と勉強以外はってイメージあったから」


 ほら、また余計な一言で私を苛立たせる。料理が好きというわけではないけれど、両親が共働きのため、私が料理をする日があるのだ。

 今日のカレー作りなど簡単なほうだろう。ただ霧谷と連携がとれなくて失敗……という可能性もゼロではない。


「霧谷こそカレーを焦がさないように気をつけてよね」

「あっ、やっぱり料理すらできない男だって思ってんな。こう見えて自炊してるほうだから」

「なら火の準備でもして」
「いやそこは俺も一緒に具材切らせてくれよ」


 用意されたまな板と包丁は二つ。私が全部具材を切ろうと思ったけれど、霧谷に反対されてしまった。