まさかバス内であんな風に……簡単に触れてきて。


「汐音?なんだか顔が赤くない?もしかしてそんなに怒って……」

「ち、違うから!お腹すいてきたね!」


 慌てて会話を変え、熱くなる顔を冷まそうと必死になる。

 沙良も想像すらしていないだろう、まさかバス内で霧谷とあんなことがあったなんて。


「ご飯のほうは任せといて。ただ問題はカレー担当の汐音と瑞樹だからなぁ」

「そ、そんな不安に思わないで……!別に私一人でもできることだし」

「あっ、それはダメだから!先生も見回り来るだろうから、汐音に任せてると思われて瑞樹が怒られるから」


 確かに沙良の言う通りである。それを言われてしまうと、もう何も言えなくなった。

 ここは諦めて霧谷と協力を……いや、でも話すことすら避けたいと思っている。