「……霧谷、瑞樹」
「ふはっ、フルネームで呼ばれたの初めてかも」
私がどれだけ足掻いても勉学で勝てない相手の霧谷瑞樹。
学年1位の秀才とは程遠く、髪は明るい茶色に染められている上に、制服は着崩して耳にはピアスまでつけられている。
私が敵対心を抱く理由がこれだった。
霧谷は賢いけれど、素行が悪い。授業はよくサボる、出席しても寝てばかり、さらに提出物は出さない。
それなのに学年1位という成績を収める彼に、悔しさが何万倍も増すのである。
「俺さ、1年の時からずっと思ってたんだ。藍原さんと話してみたいなって」
「何で……」
霧谷はいわゆるリア充を満喫しているグループに属しているようなタイプだ。何ならリーダー格と言っても過言ではない。
そのような彼がどうして私と話してみたいと思っていたのか、不思議で仕方がない。



