「やっぱりこれが最後だったんだな」
「だいたい酔ってもないのに人から薬を奪おうという神経が……えっ?」
今、霧谷は「これ」と言わなかった?
不思議に思って彼の手元を見ると、その手のひらには私が堀田くんに渡した酔い止め薬が置かれていた。
「飲んでなかったの……?どうして」
「酔ったって言えば藍原ちゃんが油断してくれるかなと思って。まさか自分用の最後の薬をくれるとは思わなかったけど」
「それだけの理由で酔ったフリしてたわけ?」
「まあ大人しくするための口実。今こうして隣に座れたし、我慢した甲斐があったなぁ」
再び私の肩に頭を置こうとしてきたため、慌てて窓際に体を引っ付ける勢いで離れた。



