愛恋のキス








 集合時間になり、クラスごとにバスに乗って目的地へと移動する。

 バスの移動時間にはグループのみんなと好きなお菓子を食べて楽しもうと思っていたけれど、誰かさんのせいでその気分すらだだ下がりである。



「汐音、顔怖いよ。また瑞樹に何かされたか」
「理由を聞く前から俺のせいにするなよ」

「瑞樹以外に藍原ちゃんを怒らせる人間なんていねぇだろ」

「待って健介も俺の味方してくれない感じ?」
「どう味方すればいいんだよ逆に」


 さらにその原因となる男が私の後ろに座っているなんて、顔が怖くなってしまうのも仕方がない。


「まあ瑞樹のことなんて放っておいてお菓子食べよう!」

「……うん」

「期間限定のお菓子も持ってきたんだ〜!ほら見て、抹茶!」

「あっ、美味しそう」
「でしょ?」


 私を元気付けるように話しかけてくれる沙良を見ていると、徐々に怒っている自分がバカらしくなってきた。