ついにやってきた宿泊行事当日。

 同じ班に霧谷がいることは憂鬱だったけれど、それ以外は何かと楽しみだった。


「汐音!」
「澪!お待たせ」


 目的地へはバス移動のため、他学年の生徒が登校する時間より早く集合時間が設定されていた。

 そのためいつもより早い電車に乗り、改札を出てすぐのところに澪と待ち合わせをしていた。


 今日は澪の方が早い電車だったようで、先に待っていた。


「楽しみだね、今日から」

「また私が何かやらかすんじゃないかって期待してるでしょ」


 澪の顔を見ればすぐにわかる。霧谷と同じ班になったと言った時点で澪は笑い、「これはまた噂が流れそうだ」と言っていた。

 そんなの流れるとしたら私の悪い噂に違いない。私だって我慢したいけれど、どうしても我慢できない時だってある。