「カレー作る人とご飯作る人が二人ずつか。健介と沙良はどっち作るか?」

「俺はどっちでも大丈夫だぜ」
「別にどっちでも。瑞樹が好きなの選びなよ」

「俺もどっちでもいいんだよなぁ。藍原ちゃん、どっちがいい?」

「いや、どうして私に聞くわけ?」
「藍原ちゃんは俺とペアだから」


 またわけのわからないことを言う。誰が霧谷と一緒にカレー作りをするものか。


「私は沙良と作る!」

「そんなこと言わずにさ。俺たちが仲良くなるきっかけにしよう?」

「仲良くなりたくないので結構です!」

「本当にバッサリ言い切るよな藍原ちゃんって。でも二人は異議なしだって」


 その言葉に堀田くんと沙良を交互に見ると、堀田くんは諦めるしかないというような顔でうんうん頷いているし、沙良は両手を合わせてごめんねというポーズをとっていた。

 誰も霧谷には逆らえないのだろうか。二人を見た後の私に、霧谷は「ほらな?」と言ってきたのがさらにムカついた。


 どうやら私は目の前の男を受け入れる他ないようで、宿泊行事を休みたくなった。