愛恋のキス




 やっぱり女子に関する悪い噂は全て本当なのだろうか。


「でも別れてから今も友達関係なのは沙良だけだな。その点に関しては珍しいかもしんない」

「私たちは何かと特殊だったよね。瑞樹と付き合ってたの忘れるぐらいだし」


 私だけが話についていけず、思考を放棄することにした。彼氏なんてできたことがない私からすれば、二人の話は未知の領域である。


「そういや藍原ちゃんは?」
「……何が」

「彼氏、できたことあんの?」


 この男は本当に失礼なことを聞くものだ。しかも「いるのか」ではなく、「できたことがあるのか」という質問の仕方は失礼以外のなにものでもない。

 きっといないと思うが一応聞いておこうという意味だろう。本当に最低だ。平気で乙女心を傷つけてくる。


「あんたに関係ないでしょ」
「まあ藍原ちゃんは勉強一筋って感じだからな」

「そう思ってるならいちいち聞かないで!」
「瑞樹って本当に汐音を怒らせる天才だね」


 沙良が間に入ってくれたおかげで場は収まったが、霧谷はニコニコと笑っていてどこか嬉しそうなのが腹立つ。