「じゃあ名前で呼んでいい?」
「絶対に無理」

「二人とも、本当に相性最悪だよね」


 上機嫌に話しかけてくる霧谷に対し、私は冷たい態度をとっている。

 それを見た沙良が呆れたようにため息を吐いて、相性が最悪だと口にした。まさにその通りである。


「俺はただ仲良くなりたいだけなのになぁ」

「その様子じゃ一生無理でしょ。汐音もあんたの相手するの大変そうだからやめてあげなよ」


 沙良の言葉が嬉しくて、私は彼女を見ながら何度も頷いた。

 私と霧谷は根本的な合わないのだから、無理に仲良くなる必要もない。


「それで俺がやめると思うか?」
「まあ思わないけど」


 淡い期待を抱いていたのも束の間。沙良が霧谷の言葉に間髪入れずに頷いてしまい、期待は一瞬で砕かれてしまった。