「ダメ、かな」
ほら、もう!その落ち込むような顔はわざとやっているの!?
ただでさえイケメンが女子に話しかけているのだ、改札を通る同じ高校の生徒たちがチラチラと私たちに視線を向けていた。
すでに目立っているけれど、その落ち込んだ顔をされてさらに断りにくくなってしまう。
「ダメじゃない、です……」
「本当?じゃあ一緒に行こう」
了承すれば、嬉しそうに笑う西山くん。その笑顔に胸がキュンと高鳴った。
これが霧谷の言っていた天然タラシというものだろうか。だとしたらかなり納得できる。
普通ならこんな顔をされて勘違いするところだが、天然タラシと聞いているため、誰にでもこのような顔をするにちがいない。
「……見てあれ」
「うそー……あの子っていつも2位の」
うう、痛い。周りの視線がかなり痛い。
一緒に行くことになり、西山くんの隣を歩いているだけで周りからの視線やヒソヒソ話す声が聞こえてきて苦しくなる。