愛恋のキス




 今は悔しさよりも、正直……どうしようという焦りのほうが強かった。

 本当にどうしよう。今回私が負けたら……という話をテスト前に瑞樹と話していたのだけれど、これはかなりやばい。


 なんとかして瑞樹を説得し、許してもらえないだろうかと考えていた時だった。


「おっ、結果が出てんじゃん」

 私の大好きなその声が背後から聞こえ、いつもは嬉しいと思うのだけれど、今は最悪だと思い肩がビクッと跳ねる。


「なるほどなぁ……汐音」


 今度はピンポイントに私の名前を呼ばれてしまい、もう無視はできなくなってしまう。

 いっそのこと、今だけは空気になりたいと思った。


「……な、なに」
「今回も俺に敵わなかったんだな?」


 恐る恐る振り向くと、勝者の笑みを浮かべる瑞樹の姿がそこにあった。

 その言葉とその姿が、1年前の出来事を私に思い出させた。