「友梨とちゃんと話すことができて良かった。あの時も俺、藍原ちゃんがいなかったら話せてたかもわからねえけど……ありがとう、こんな俺のそばにいてくれて」


 ギューッと力強く抱きしめられ、少し苦しかったけれど胸はポカポカと温かくなる。


「……うん」

 一度だけ頷いて、霧谷に身を預ける。
 霧谷から本当のことを聞けて、苦しみなんてものはなくなり、徐々に嬉しい感情が湧いてきた。


「あ、藍原ちゃんが泣き止んだ」
「……何で残念そうに言うの」

「俺のことでボロボロ泣く姿も可愛いなって思ってたのに。もっと見てたかった」

「ひ、ひどい……!」
「でもやっぱり、笑ったり怒った顔も可愛くて好きだな」

「怒った顔もって……」
「だって藍原ちゃん、怒っても全然怖くないし」


 いつのまにか通常運転に戻る霧谷と、それから私、

 澪と沙良が戻ってきた頃には、いつも通り私が怒って霧谷が楽しそうに笑っていた。