愛恋のキス




「でも……本当にもう、大丈夫なの?」


 霧谷に気持ちを伝えられ、私も気持ちを伝えることができ、これで満足な結果に……とは思えなかった。

 これまで何度も霧谷の切なげな表情を見てきたのだ、確かめたくもなってしまう。


「大丈夫って?」

「だって忘れられないくらい大切な存在だったんでしょ?」


 てっきり私はお互いにまだ想い合っていて……と思っていたけれど、未練はないとはっきり話していた。

 でも未練がないというのに、あれほど苦しそうな顔をできるだろうかと。


 私は霧谷になれないのだから、彼の気持ちがわかるわけないけれど。


「……ごめん、実は少しだけ嘘ついた」
「えっ……」

「元々未練がないって話。確かに友梨は俺に対して後悔の念に駆られていただけで、未練がなかったと思うけど俺は……」


 咄嗟に聞きたくないと耳を塞ぎたくなったけれど、聞いたのは私自身。

 ここは逃げずに向き合うんだと、再び泣きそうになりながらも耳を傾ける。