愛恋のキス




「……霧谷の彼女になる」


 精いっぱいの言葉だった。
 澪や沙良の前で言った時のようなことは何一つ口にできなくて。

 本人となると、やっぱり恥ずかしさが勝ってしまう。


「えー、それだけ?」

 足りないって言いながら、続きを待つ霧谷。
 いつのまにか涙は引っ込んだけれど、同時に顔が熱くなってたまらなくなる。


「……私も好き」


 やっとの思いで口にした好きの二文字は、はっきりと霧谷に届いたようで。

 嬉しそうに顔を綻ばせ、私の頭を撫でてきた。


「そっかぁ、藍原ちゃんは俺のことこんなに好きになってくれてたのか」

「……うるさい」


 ニヤニヤと笑う霧谷についつい言い返してしまうけれど、まさに事実であった。