自分でもまさかここまで霧谷を好きになるとは思わなかったとか、人を好きになるのってこんなにも苦しくて辛いんだとか、最終的には彼女とヨリを戻さないで欲しい、霧谷が誰かのものになるのは嫌だとまで言ってしまった。
霧谷の手を離して背中を押しておいて、もし今の話を霧谷に聞かれたら呆れられるだろう。
というより、二人にも呆れられているかもしれない。
ポロポロと泣いて中々落ち着かないでいると、突然インターフォンが鳴った。
「あれ、誰だろう。宅急便かな」
沙良は不思議がっていたけれど、すぐに立ち上がり家の扉へと向かっていた。
「よしよし。汐音、今日は満足するまで泣いていいからね。すぐに心が軽くなるだろうから」
「……?」
もしかして澪も同じ経験をしたことがあるのだろうか。顔を上げて澪を見ると、なぜか笑われてしまう。